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国民の生命と財産を守る『防災』

台風10号は、全国に雨や風の影響を及ぼし、昨日までに4人が死亡、94人が怪我、1人が行方不明というニュースに、本当に残念な思いです。

お亡くなりになった方々の御冥福を祈るとともに、怪我をされた方々の早急な回復と、行方不明の方が早く無事に救助されることを願います。

今年元日に発生した能登半島地震から満8か月が経ちますが、復興は、まだまだ思い通りに進んでいません。

被災された方々の気持ちを考えると、「早く日常を取り戻す」という観点から被災者の支援を行うことが大事だと思います。

私は、内閣府特命担当大臣(防災担当)いう役割を担わせていただいたことがあります。

その経験から、日本は「防災省」を設置すべきであると、常々申し上げてまいりました。

それは、国民の生命の安全と財産、国土を守るという観点からしても、現在の仕組み、つまり内閣府に各省庁を寄せ集めたような組織ではなく、防災省というしっかりとした行政組織で、各省庁にわたることなく防災大臣が指揮を執れる仕組みが重要だと考えているからです。

日本には毎年、台風が来襲し、そして首都直下地震(死者想定2万3,000人超・経済被害95兆円超)、南海トラフ巨大地震(死者想定32万人超・経済被害220兆円超)等が発生するといわれている中において、政府がいま行っている防災行政に注がれているエネルギーは、非常に小さいものだと言わざるを得ません。

台風においては、私がいつも訴えている「台風災害死亡ゼロ」を確実に実現することです。

台風はその発生から進路、風速、雨量等、全て予測できるだけに、それに合わせて自衛隊や消防、警察を予め前方展開させ、住民の避難を徹底することが大事です。

そして、装備においては、無人航空機を活用して、台風の上空からきめ細やかな情報を得ることで、予測の精度をより高めることも大事です。

また、日本の消防は消火には強いが水害への装備が薄いと言われますが、全国の消防に大型水陸両用車を配備して、いかなる状況でも救助活動が行える環境をつくることが大事です。

こうしたことをしっかりやっていけば、「台風災害死亡ゼロ」は、間違いなく実現できるのです。

毎年のように台風によって奪われる命があることを、天災ではなく人災だと思って対策することが必要なのです。

また、震災からの復興においても、「なぜここまで能登半島地震の復興が遅れているのか。仮設住宅の建設が遅れているのか。支援策が遅れているのか」を真剣に考えなければなりません。

その理由は、震災に対応するための法律が、旧態依然で何一つ変わらず、昔と同じ法律だからです。

これまで経験した震災の教訓を生かしながら、法律を現実に即したものに変えていかなければなりません。

例えば、仮設住宅は、全国の自治体が同じルールの下に仮設住宅の建材を確保していれば、必要な時に近隣自治体からの建材の融通が可能になり、迅速な仮設住宅の建設ができるようになります。

また、激甚災害指定を強化して、災害に遭われた方々を100%支援する仕組みをつくることも大事です。

いつまで経っても同じ法律で、いつまで経っても同じ方法での支援では、復興が遅れることは目に見えています。

防災と復興、この分野において、改めて申し上げますが、「防災省」を設置し、一元的に行政が動ける仕組みで、国民の安全・安心を確保することが重要なのです。

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