日本時間の7月27日午前2時30分、4年に1度の平和の祭典として、パリオリンピックが開幕しました。
開会式は、芸術の都・パリで行われるオリンピックらしい演出だったと思います。
開会式直後の柔道女子48キロ級で、角田夏実選手がパリオリンピックにおける日本勢初の金メダルを獲得し、また柔道男子60キロ級で永山竜樹選手が銅メダルを獲得しました。
幸先良いスタートを切った日本代表選手の皆さんが、日本全国からの期待に応えてくれることを信じています。
「オリンピックは、世界が平和であることの象徴として開催される」と、これまで言われてきました。
しかしテレビからは、華やかなオリンピックのニュースに続き、「イスラエルの攻撃によってガザ地区で子どもたちが亡くなった」「ロシアの攻撃でウクライナ国民が亡くなった」など、悲惨な現状が伝えられています。
残念という言葉を超越し、いたたまれない思いになっているのは、私だけではないと思います。
そんな時、パリの区長がインタビューに応じる映像が私の目に飛び込んできました。
「世界では戦争や紛争が絶え間なく起こっており、世界は決してオリンピックを喜べるような環境にはなってない。平和の祭典であるオリンピックを、このパリで成功させることが、すべての戦争の停戦に結びつくことを願いながら、私たちは頑張っています」
区長のこの言葉こそ、世界の政治リーダーが、もっともっと深く心に刻むべき言葉だと思います。
205の国と地域が選手を派遣してオリンピックが開催される中において、指導者たちは、オリンピックに注ぐエネルギー以上のエネルギーで、「戦争・紛争を停めるために何ができるだろうか」ということを考える必要があります。
自国の選手のメダル獲得が増えれば増えるほど、戦争・紛争を終わらせるエネルギーに変えていくことが大事なことではないでしょうか。
オリンピック憲章 根本原則の3には、次のように書かれています。
「オリンピズムの目標は、あらゆる場でスポーツを人間の調和のとれた発育に役立てることにある。またその目的は、人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立を奨励することにある。この趣意において、オリンピック・ムーブメントは単独または他組織の協力により、その行使し得る手段の範囲内で平和を推進する活動に従事する」
私たちは、オリンピックから感動だけを受け取るのではなく、平和をつくる思いになることが大事なのです。
選手の皆さんには、これまで努力に努力を重ねてきた全てをかけて1試合1試合頑張っていただきたい。
そして世界中の皆さんに感動を与えていただきたいと思います。
大会が終わりパリを去るときには「世界が平和でありますように」「4年後には戦争がない世界でのオリンピック開催でありますように」と心に刻み、オリンピックの歴史をつないでいただきたい。
私の希望は、出場するすべての選手、そして表彰台に上がった選手が、笑顔で世界平和をアピールするピースを高々と上げることです。
オリンピックでの選手の皆さんの活躍を期待いたします。