日本の国家予算の編成プロセスは、毎年8月下旬、各府省庁が予算案を編成し、それを財務省に要望して(概算要求)、各府省庁の折衝の後、最終的には12月に政府予算案が決まります。
各府省庁と財務省との間では細かい調整があり、財務省は一つひとつの予算項目について、予算の効果と整合性をしっかりと判断します。
今回、うるま市で陸上自衛隊が訓練場をつくる計画について反対運動が巻き起こっておりますが、この計画予算についても、昨年8月に概算要求に計上され、予算案に盛り込まれ、3月2日には衆議院を通過し、いま参議院で審議が行われている最中であります。
つまりこの計画は、昨年8月の段階において、与党・自民党に説明されていたことは間違いありません。
特に、自民党政務調査会の国防部会においては、防衛省のすべての予算が説明されているだけに、当時の国防部会長であった国場幸之助氏は熟知していたはずです。
また、今回のような新規案件については、防衛省が自民党国会議員や地元市長に前もって説明を行わないはずがありません。
つまり、自民党沖縄県連や自民党国会議員、地元市長らが、まるで計画を知らなかったかのように反対し、防衛大臣へ計画断念を求めたりする選挙目当ての一連の反対パフォーマンスは、概算要求を承認し、予算案も認めて衆議院の採決でも賛成したという事実からしても、茶番としか言いようがありません。
自民党議員らの反対パフォーマンスに対し、財務省からは、防衛省に対して「地元の国会議員の了解をとっていなかたのか」「地元市長に説明しないまま用地取得をしようとしていたのか」と、怒り心頭だということが聞こえてきます。
納税者からしても、自分たちが納めた税金が、根回しもされず、十分な理解もされないまま予算化され、予算審議の最中に「断念しろ」という声が出てくること自体、許すことはできません。
万が一、計画断念となると、次年度予算をすべて見直さなければならないし、この予算案がそんな杜撰なものであったならば、会計検査院から指摘を受け、納税者も納得しません。
中村市長も自民党議員も、この計画が含まれた予算案を容認してきたことを県民に陳謝したうえで、計画断念の政治行動を行うべきであり、何も知らなかったかのような態度をとることは、県民をだましていることになります。
今、防衛省・自衛隊に対する信頼が著しく損なわれ始めていることが、残念で仕方ありません。
復帰後、長い時間をかけて、急患輸送や不発弾処理など、私たち沖縄に寄り添って地道に活動を続け、ようやく沖縄県民の7割超が自衛隊の必要性を認識する環境がつくられてきただけに、先輩方のこれまでの考え方や行動を踏襲して「沖縄においては慎重な一歩を踏み出す」ことが大事です。
訓練場が計画されているあの場所を、最初に提案したのは誰なのでしょうか?
この事の始まりが、非常に重要だと思います。
確実に、沖縄の“誰か”が、防衛省にあの場所を訓練場にしたらどうかという話を持ち掛け、その時に根回しも十二分に行い、地元市長からも了解を得たから予算に計上されたことは間違いありません。
県民からの反発が強まったら、何も知らなかったかのように反対パフォーマンスをするといった行動は、政治とは呼べません。