「混乱・混乱」
自民党派閥の裏金問題・柿沢未途前法務副大臣の公職選挙法違反問題が、同時に捜査を受けるということは、これまでの歴史からして、極めて稀な出来事と言わざるを得ないだけに、この二つの問題が政界に与える影響は計り知れないものであります。
自民党は、「党の前に派閥あり」と言われ、“党”ではなく、“派閥”にどれだけの資金を集めるかで派閥の力を示し、派閥が政府・党内の役職を競い合い、そのことによってまた集金力を増すというサイクルをつくりあげてきました。
自民党の根幹である“派閥”に、東京地検特捜部がメスを入れるということは、よっぽど“派閥”そのものに大きな利権が渦巻いていると考えているのでしょう。
1996年の衆議院選挙から導入された小選挙区制から比例代表並立制が始まりましたが、選挙区では勝てずに比例でしか当選しない議員が政府や党の役職を得るためには、派閥のパーティーにおいて多くのノルマを果たさなければいけなくなりました。
役職を得ることで選挙区内での影響力をつくり上げ、選挙区で勝てるようにするという考え方があったからです。
“派閥におけるパーティーのノルマ”と“政府・党における役職の確保”は不離一体であり、それが派閥の力になってきたのであります。
「混乱の混乱」
「今回の自民党派閥の裏金問題をリークしたのは、旧統一教会ではないか」と、東京では囁かれております。
安倍派と旧統一教会は非常に緊密な関係を保ってきており、旧統一教会の関係者が安倍派議員の私設秘書になるケースが数多くあったといわれているからです。
旧統一教会の解散命令が取り沙汰される中、旧統一教会の関係者がパーティー券のノルマ・キックバック問題をリークしたという見方があります。
しかし、旧統一教会関係を巡る混乱は、解散命令が出されたら、もっともっと激しくなってくるのではないかと予想され、自民党内の混乱はそう簡単に収まるものではないでしょう。
混乱に混乱が重なる混乱がスタートしたばかりであり、これから本当の混乱が火を噴いてくるのではないかと思います。
「混乱を抑える処方箋」
政治への信頼を取り戻すには、政治家が政治家に対し、厳しい対応をとるところから始めなければなりません。
政治家にとって厳しい対応というのは、「議員定数の削減」であり、その最たるものは「衆議院と参議院をまとめる一院制」であります。
すべての政党が、何年までに施行するという期限を定めて実行すれば、今の政治に対する信頼は、V字型に回復してくると考えています。
今回の裏金疑惑に、「わが党は関係ない」とか、「わが派閥は関係ない」とか言うのではなく、「すべての責任が政治にある」という認識で、議員定数の削減を実現すれば、そこから活路が見出せ、日本の歴史の中で「あの時の議員定数削減こそが、日本の政治を変えた!」と言わしめることになるでしょう。