(2023年9月22日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
沖縄県の玉城知事は9月18日、スイス・ジュネーブで行われた国連人権理事会で、米軍普天間飛行場の辺野古移設について、沖縄の民意に反して強行されているとする1分40秒の演説を行いました。今回の演説は、「沖縄県民は先住民族だ」と訴えるNGOの枠を譲り受けて行われたもので、翁長前知事が2015年9月21日に国連人権理事会で発言したのと同じNGO枠でした。様々な主張や考え方があることを、否定するものではありません。今回の玉城知事のジュネーブ出張は、公費で賄われていますが、辺野古移設をめぐる13回の裁判費用は既に2億2000万円を超えています。これらの動きが、成果をもたらすことになるのか、それとも、パフォーマンスに終始してしまうのか、私たち沖縄県民はしっかりと見定めなければいけません。
【知事にいま必要な政治行動】
“辺野古訴訟”は9月4日、最高裁が沖縄県の上告を退けたことで、沖縄県の敗訴が確定しました。それを受け、国交相は20日、辺野古の設計変更申請を承認するよう玉城知事に勧告し、回答期限を「9月27日」と指定しました。ジュネーブから帰国するのが23日であることを考えると、最終結論を出すまでに残された時間は「5日間」しかありません。知事が最優先すべき政治行動は、国連人権理事会での1分40秒スピーチではなく、勧告にどう対応するべきか、多くの皆さんとじっくり協議することだったはずです。
【岸田首相と胸襟を開いて対話する】
玉城知事は、記者団に「岸田首相と胸襟を開いて対話することが望ましい」と述べましたが、あまりにもお粗末です。最高裁で勝利し、玉城知事に設計変更を承認するよう勧告を出している総理大臣(国交相)と協議しようと考えること自体、首をかしげてしまいます。むしろ、岸田総理から玉城知事に対して、「胸襟を開いて協議をしたい」と言わしめるような政治環境をつくることこそが必要なのです。
【協議の環境をつくれるか】
「10月に知事を辞任し、改めて知事選挙を行って再選される」
「野党が知事の不信任案を提出・議決し、それによって知事は県議会を解散し、来年6月の沖縄県議会議員選挙を、今年10月に前倒しして行い、移設反対派で過半数をとる」
「知事の再選後、12月に辺野古移設の是非を問う県民投票を行い、50%以上の投票率と6割以上の反対を確保する」
これらを実行すれば、岸田総理と協議を行うための最低限の政治環境が構築されます。国による設計変更承認の代執行が行われる前でなければ意味がないことを考えると、いま求められるのは、玉城知事の決断と実行力です。