(2023年7月28日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
岸田総理は7月14日、、アメリカ軍制服組トップであるミリー統合参謀本部議長との会談のなかで、「日米同盟の重要性はますます高まっている」と述べました。
戦後78年間、米軍人・軍属による刑法犯罪での検挙件数は「6,163件」であり、そのうち凶悪犯が「584件」を占めます。
47都道府県のなかで、米軍施設・区域が所在するのは13道府県、残りの34府県に米軍施設・区域はなく、そのうえ、米軍施設の7割が沖縄県に集中しています。
沖縄県民の平均所得「一人あたり216万円(全国最下位)」、子どもの貧困率「29.9%(3.3人に1人)」、児童虐待の相談件数「2,509件(過去最大)」、親から引き離されて施設で頑張る子ども達「408名」。
これらの数字を見れば、「日米安全保障に大きく貢献している沖縄県が、このような現状に陥っているのはなぜなのか」という疑問が生まれ、「いま、県民のために何を最優先に行うべきか」について、自ずと意識が向いていくはずです。
与那国から石垣・宮古・沖縄本島まで、新たな自衛隊基地が建設され、安全保障に対する沖縄の貢献度は倍加しています。
その一方、島しょ県である沖縄県では、異常な物価高騰により、生活環境は厳しさを増し、57万世帯の60%を占める34万世帯が「世帯年収400万円以下」というのが現状です。
これらを踏まえれば、知事をはじめ、市町村長らが、国と交渉して獲得しなければならないのは、「県民の生活を守る施策」ではないでしょうか。
例えば、「電気、ガス、ガソリン、沖縄の郷土料理を支える油の価格の低減」、「全ての店舗で使用可能な食料品クーポン」、「建築コスト上昇を抑える輸送補助」等々、生活者を対象にした施策は枚挙にいとまがありません。
防衛予算を使って、シェルターや体育館やアリーナ等、いわゆる“ハコモノ”の建設を、このタイミングで要求する必要性はあるのでしょうか。
医療の分野においても、名護市で2028年度に開業予定の「沖縄北部医療センター」については、全額補助するのが当たり前ではないでしょうか。
こう考えるのは、私だけではないと思います。
いま政治家が最優先すべき政策は、「県民生活を向上させ、貧困と格差を解消するための施策」です。
政治家が最優先政策の選択を間違えれば、本当に、地域の生活と県民の心がおかしくなってしまいます。
「今は、台湾有事よりも、貧困と格差対策こそが最優先事項だ」と、玉城デニー知事が明確に打ち出さないことに、私は苛立ちを感じます。
沖縄戦では、約20万人(米国側1万2520人、日本側19万人弱)の人々が命を落としました。
日本側19万人のうち、日本軍の軍人・軍属「9万4136人」、一般県民「約9万4000人」であり、さらに軍人・軍属の中の沖縄県出身者は「2万8228人」、一般県民と合わせると、当時の「県民の4人に1人」に当たる約12万人が犠牲になりました。
思えば、県民と国とのしこりは、そこから生じていると言えるのかもしれません。
「生活を安定させ、安全保障を支えるだけの余裕を県民に持たせる」そのことを国は最優先に考えるべきだと思います。