(2023年3月10日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
「日韓関係が正常化することこそが、北朝鮮に対する大きな抑止力となる。そして日韓関係が正常化することは、『拉致問題の解決』と『朝鮮半島の安定』につながり、沖縄の過重な米軍基地負担を軽減することになる」
下地ミキオが政治家として“日韓関係正常化に取り組む最大の理由”が、この強い思いであります。
日韓関係は、2018年10月の韓国最高裁が下した元徴用工訴訟の判決以降、韓国海軍レーダー照射問題、ホワイト国除外、GSOMIA破棄等、戦後最悪と言われるほどでありました。
冒頭で述べた信念から、「日韓関係は、このままではいけない」と考え、下地ミキオは、2019年9月、沖縄の後援会メンバー120名とともに、韓国への友好ツアーを行いました。
当時、SNSでも批判の声は確かにありましたが、私は「このような時だからこそ、握手の手を差し出す」という、下地ミキオなりの外交哲学を貫きました。
そして下地ミキオは特に、韓国国会の文喜相議長(当時)と、日韓関係改善を目指した提案をコアに、お互いの交流を深め、会談を積み重ねました。
2019年11月、文議長は、G20国会議長会議に参加するために来日しました。
文議長は同年2月に、慰安婦問題について、当時の天皇陛下による謝罪を求める発言をしており、謝罪はしていたものの、日本政府および衆参両院は「(その発言は)到底許されるものではない」との認識の下、政府要人も衆参両院議長も、文議長とは一切会うことはせず、厳しい冷遇外交を行ったのであります。
その中で、早稲田大学で講演を行った文議長は、徴用工問題の解決法として、日韓の企業と両国国民の自発的な寄付で基金を創設し、その基金で被害者の賠償を肩代わりすることを柱とする「1+1+α」案を提案しました。
当時の日本は、文議長に対して非常に感情的になっていたため、この提案が受け入れられることはありませんでした。
しかし今回、韓国政府が提案した解決策には、「韓国側の財団(基金)が賠償金を分配する。小渕恵三総理と金大中大統領が1998年に発表した日韓パートナーシップ宣言をアップデートして、日本と韓国の経済界が未来志向で政策を進める」という、下地ミキオと文議長が共につくり上げたシナリオが根底にあることは間違いありません。
ただ一つだけ、私たちの提案と違うのは、「解決策を不可逆的なものにするために、韓国政府が新たな法案をつくり、法による裏付けをつくる」という項目がないことです。
私たちは、韓国の多くの皆さんから知恵をいただきながら、法案についても勉強し、提案をしてまいりました。
法案の制定についても、“未来志向”で“より良い日韓関係を築き上げる”ために、韓国議会で議論される日が、必ず来ると思います。
日韓関係を改善したいという強い思いからスタートした4年間の韓国訪問のなかで、当時の韓国国会議長であった文喜相氏や、韓日議員連盟会長であった姜昌一氏をはじめ、韓国側の要人との会談を何度も重ねてきましたが、今日の結論を目にすると、本当に感無量です。
政治家として、役職に囚われず、「この問題を何としても解決しなければならない」との強い信念をもって臨めば、必ず結果はついてくる。
そのことを如実に示す大きな出来事であります。
場面場面で日程調整や通訳、その他様々なサポートをしてくださった多くの皆さんに、改めて心から感謝します。
「日韓関係正常化の未来が、沖縄の問題解決につながる」ことを願いながら、これからも頑張ってまいります。