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台湾・金門県レポート

(2023年2月17日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)


「台湾国民と台湾の政治は、台湾有事に対して非常に冷静」だったというのが、今回の台湾訪問での、私の率直な感想であります。

今回のメルマガは、台湾で会った皆さんから聞いたことを、そのまま伝えたいと思います。

台湾・金門県の李文良副知事との会談の中で、私は3つの質問をしました。

1つ目は、「金門県にはかつて、10万人の兵力が駐屯した時期があったと聞いているが、今は3000人規模だという。台湾有事が現実味を帯びる報道等がある中で、金門県は中央政府に対して、軍隊の増強を要請する思いはないか」ということ。

李副知事は、この質問に首をかしげながら、「私たちは、中央政府に対して、軍隊の増強を要請するつもりは一切ない。逆に、金門県から軍隊をゼロにすることを考えたこともある」と答えました。

2つ目は、「金門県の政治指導者は、台湾有事について、どのような注意を払いながら中国側と向き合っているのか」ということ。

李副知事は、身を乗り出しながら、「とにかく“バランス”が大事だ。バランスが悪くなれば、台中間の緊張関係が生まれることになる。また、バランスを保つ上で、“中国を刺激しないこと”に、最も注意を払っている」と答えました。

3つ目は、「金門県の経済を成長させていくための経済の仕組みについては、どのような考えを持っているか」ということ。

李副知事は、ここでも身を乗り出して、「『三通』だ。とにかく、中国と台湾・金門は、人的な往来を活発にしなければならない。年間600億円の売り上げを誇る金門県の特産物『高梁酒』においても、原料(高粱)の8割は中国から仕入れている現実がある。高梁酒は、金門県の経済の中心的な役割を担っていることからも、経済の中心は中国との貿易であり、この交易なくして、金門県の経済の未来はない」と言い切っていました。

私との50分間の会談で、李副知事が“バランス”という言葉を、何度も、何度も使っていたことが印象的でした。

また李副知事が、「中国との戦争を経験したのは、台湾の中でも金門県だけだ。台湾本土の人たちは、戦争を経験していないだけに、安易な緊張関係をつくろうとする。そのことにも、強い懸念を持っている」とも話されたことで、金門県と沖縄県の置かれている立場が同じであると感じざるを得ませんでした。

台中が戦争になれば、金門県はすぐに中国から占領される。

金門県の人々はそのことを深く認識しているだけに、自らの立場を踏まえた現実的な選択をしなくてはならないと考えていることに間違いありません。

今回のメルマガは、金門県の現実について書かせていただきましたが、次回は「台湾有事に対して、本当の思いはどこにあるのか」について書きたいと思います。

特に、日本の「43兆円の防衛費増額」について、また「敵地攻撃の議論」について、“バランス”感覚を持ち、“現実的”選択をしてきた台湾国民が、日本をどう見ているのかの本音のところについて、報告する予定です。

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