(2023年2月10日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
皆さん、こんにちは。
毎週金曜日に配信しているミキオのメルマガをお読みいただき、多くのご意見をいただいておりますことに、心より感謝申し上げます。
これからも政治家として、じっくり勉強して、真心を込めて、説得力のあるメルマガを皆様にお伝えしていきます。
私は昨夜、台湾の金門島に到着し、今日は金門県の関係者と意見交換をすることになっていますが、このメルマガは、その前の朝食時間に、ホテルで書いています。
今回の台湾視察の内容については、次週以降のメルマガから、しっかりと皆様に報告させていただきますが、本日は、そのなかから一つピックアップして書かせていただきます。
今回の視察において、台湾関係者と意見交換するなかで、「経済安保」に対する概念が、私の中で大きく変わりました。
私はこれまで、「経済安保」とは、戦争を維持できる規模の経済環境を構築するものだというイメージを抱いていました。
そのため、食糧自給率は十分か、エネルギーの確保は十分か、というような視点でとらえていました。
しかしながら、台湾における「経済安保」とは、台湾が攻撃された時、台湾が戦争に巻き込まれた時、“相手の国が、世界経済が、どれほどのダメージを受けるのか”という視点で構築されるものでありました。
一つの例を申し上げると、半導体産業です。
台湾の半導体メーカーTSMC社は、熊本に2つ目の半導体製造工場を建設予定であります。
半導体の微細化を示す基準(数値が小さいほど優れている)では、TSMC社の日本工場で生産される製品は27ナノであります。
日本での微細化が40ナノで足踏みしていることを考えれば、27ナノでもすごい事なのですが、台湾国内で現在生産しているものは3ナノで、2ナノが実現間近だということです。
世界各国が、3ナノや2ナノの製品の生産にチャレンジするなか、2ナノを実現できるのは台湾しかないということでありました。
世界が真似できない高い技術を有している台湾だけに、台湾が戦争に巻き込まれれば、世界中の高性能半導体の供給がストップすることになります。
「そのことを承知の上でもなお、台湾有事を進めますか?」と、台湾は世界に問いかけているのです。
この半導体による「経済安保」の話は一つの例でありますが、「経済安保のカードを、いくつ持てるか」ということで、抑止力を高めようというのが、台湾の考え方です。
これは私にとって、ドバイに次ぐ、二度目の“目からウロコ”の話でありました。
私は2013年にドバイを訪問し、ドバイ政府が考えている抑止力について話を聞いたことがあります。
軍事力を持つのではなく、「メディア特区」というものを創設して、世界のマスコミをドバイに集積し、ドバイからすべての情報が発信できるようにする。
そうすることによって、ドバイが攻撃されれば、瞬時に世界中にその状況が発信されることになります。
つまり、“侵攻を行う国が、世界から批判される”こととなり、それが「メディア特区による抑止力」という概念でありました。
今回の台湾の「経済安保」の概念は、それに匹敵するものでありました。
日本では、「専守防衛」に、「敵基地攻撃能力の保有」を携えて、新たな展開を迎えようとしていますが、「それは本当にいま必要なのか!?」「ほかに手段はないのか!?」ということを、この台湾視察の旅で、改めて考えさせられることになりました。
今回の台湾視察については、次週から2回にわたって、丁寧に皆様に報告させていただこうと考えております。
是非、お読みください。