(2023年1月06日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
インドの2022年の新車販売台数が、日本を抜いて世界3位となりました(1位中国2627万台、2位米国1540万台)。
日本の新車発売台数は、1990年の777万台をピークとして、420万台にまで落ち込んでいます。
2021年の1人当たり名目GDPは、日本が39,301ドル、韓国は35,004ドルとなり、中国は、2025年までに高所得国入りするとの見通しが出ています。
これらのデータから、日本の個人消費の市場が世界的に見れば魅力に乏しいものになり始めていることがわかります。
20 年も前から今日に至るまで、人口統計学者の先生方が「人口減少・少子化」がその大きな要因であることを厳しく指摘してきました。
しかしながら、日本の政治は少子化対策に根本的な政策を打ち出すことはせず、場当たり的な政策の積み上げだけを行ってきました。
その結果が、「日本経済の縮小」という形で明確化してきているのです。
1月5日の東京株式市場は、岸田首相の子育て支援政策の発言が思惑買いを呼びこみ、子育て関連企業の株が上昇しました。
しかしその中身は、小池百合子都知事が少子化対策として打ち出した「18歳未満への月5000円程度の子育て給付金支援」「保育所運営やベビーシッターの派遣サービス」「保育園や学童クラブ、児童館の強化」といった具体的なものにはなっておりません。
私が掲げる「教育費の完全無償化」のように、少子化対策の根本に関わる政策でなければ、現状を変えることは出来ません。
これまでの日本の少子化対策は、いわば「靴の上から足を掻く」ようなものであり、岸田内閣は、それをまだ続けようとしているのです。
「教育費の完全無償化」は少子化対策であり、なおかつ、賃金を上げる以上に可処分所得を増やすことができる政策です。
そのことが何故わからないのか、私には甚だ疑問です。
いま、毎日のように賃上げのニュースが取り上げられています。
大企業と連合の交渉は、「基本給のベースアップは物価上昇に追いつき上回るような水準にするべきだ」と白熱しています。
しかし私たちをとりまく生活環境は「食料品の7000品目が値上げ」「長期金利が上昇」「4 月から電気料金は4割値上げ」と、日本の物価上昇率は4%に迫っております。
つまり、賃金だけで解決しようとすること自体が間違いなのです。
何度も申し上げますが「教育費の完全無償化による可処分所得の増加」「消費税を時限で5%にする税率負担の軽減」そして「健全な賃金の上昇」という、これら3つのベストミックスを作ることが大事なのです。
大企業と連合のシナリオは、「賃金の上昇による経済の活性化」を前面に出しております。
しかし、日本の企業の95%が中小・零細企業であることを考えれば、彼らの思惑通りにシナリオが進むとは考えにくいのです。
大企業の大幅な賃上げによって、中小・零細企業の取引金額にしわ寄せがくる。
そのことを不安視した結果、「下請けの取引金額が絞られる」。
これが生の声です。
政府は、大企業の賃上げを後押しすると同時に、中小零細企業の不安の声も払拭するべきです。
つまり、「大手企業の原価率を上げる」「下請け中小・零細企業の受注金額の見直しを政策化する」と明確にしなければ、大企業だけの賃金上昇が市場を健全化することはできません。
政治は、物事の両面を見ることが大きな役割であり、それこそが政治能力といわれるものなのです。
※※※配信されたメールマガジンを転載しております※※※
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