(2021年4月15日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
沖縄振興審議会(総理の諮問機関)は13日、内閣府が示した「沖縄振興基本方針」の最終案を了承しました。
第5次振計の基本方針にあった「沖縄の自主性を最大限に尊重しつつ、その総合的かつ計画的な振興を図る」という文言が削除されました。
この文言は、私が2012年の見直し時に盛り込んだものでした。
一括交付金制度は10年前、沖縄県が主体的に使途を決められる新しい仕組みとしてつくりましたが、今回、「必要に応じて国が直轄事業や個別の補助事業を実施」と変えられ、国が強く関与できるようなものとなりました。
沖縄振興計画の期間については、10年だったものが「5年以内の検討・見直し」という文言に変えられ、1年目でも変更される可能性が出てきました。
10年というのは、投資家や企業が安心して沖縄に投資をしていただける期間で、誘致された企業も沖縄で頑張れる、そんな時間でありました。
沖縄振興予算は300億円(10%)減額され、新たな沖縄振興計画では新しい制度が1つも創設されることなく、長期的に投資を呼び込むビジョンもないと言わざるを得ません。
10年前に私が与党として携わった沖縄振興策は、国ではなく沖縄県が沖縄振興計画を策定することを決め、琉球大学・専門学校・私学などの文言を加えることで、教育を沖縄振興策として取り組む強い姿勢を示しました。
しかし今回のものは、「沖縄の自主性を最大限に尊重」という文言を削除しながら、沖縄県に「市町村の主体性を尊重」することを求める、矛盾したものになっています。
沖縄県と市町村は、お互いで協議をしながら予算の配分を行っていますから、こんな文言は入れる必要はありません。
また、玉城デニー知事は、「沖縄の自主性を最大限に尊重」部分の削除について「大きな影響はない」とコメントしていますが、知事は本当に影響がないと思っているのでしょうか。
私は本気で疑問に思います。
沖縄の祖国復帰50年という節目の年に、このような沖縄振興策でいいのでしょうか。
私は、山中貞則先生から2つの事を教わりました。
「沖縄の政治を尊重しなさい」
「政府に対してノーと言える力を持ちなさい」
つまり、県民が選んだ首長を尊重し、沖縄県にとって納得できない事は拒否する強い意志を持つことです。
山中先生が亡くなってから18年、「沖縄を尊重しない政府」と「弱い沖縄県」という現実に残念無念です。
国会においても、このような魂の入っていない沖縄振興策に全会一致で可決されたことにも怒りを覚えます。
私が現職でいたならば、唯1人だったとしても、「反対」の大声をあげていたことは間違いなく、こんな骨抜きの沖縄振興策は絶対につくらせなかったと思います。
2回続けて沖縄振興策に対する怒りを爆発させる下地ミキオには、残念という言葉を超えて、怒りしかないことを理解いただきたいと思います。
しかし、次回からはもう二度と沖縄振興策の愚痴は言いません。
「夢を実現する」下地ミキオ本来の姿に戻って頑張ってまいります。
「沖縄を愛しすぎて空回りする下地ミキオ」と言われるかもしれませんが、それもまた「下地ミキオ」だと思ってご勘弁下さい。
「ピンは動かないし、揺れもしない。ボールが揺れているのは、投げる人間の心が揺れているからだ」
私がボウリングの師匠からいただいた言葉です。
真摯に受け止めます。