(2021年3月25日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
過去最大107兆5,964億円の令和4年度予算が成立しました。コロナ対策をはじめ、コロナ後の経済対策など、日本経済の復興に大きな役割を担うことになるでしょう。
しかし、このように全省庁で予算が増額される中、沖縄振興予算(内閣府沖縄担当部局予算)だけが300億円(予算比10%)減額されました。
予算の削減は、沖縄県・市町村の予算編成に、厳しい影響を与えています。子育て、低所得、障がい者等、弱い立場の人たちを守るための予算も、すべてが減額されているのです。
復帰50年目を迎え、過去最大の国家予算の中で沖縄振興予算だけが減額されることは、私には理解できません。
もし予算の減額が政治的思惑で行われているとしたら、非常に残念なことであります。
予算を減らせば沖縄県民はすり寄ってくると政府が考えているならば、明らかに間違った判断です。
「中央との強いパイプ」=「予算を削られる」というなんとも考え難い現象が起こっているのが現実です。
ロシアのウクライナへの軍事侵攻はまったく大義がなく、プーチン大統領が行っていることは、侵略戦争だと言わざるを得ません。
しかしいま私たちは、プーチン大統領を激しい言葉で罵り、非難することではなく、ウクライナ国民の命を守ることが大事です。
つまり、ウクライナとロシアとの停戦協議を成功させ、ロシア軍をウクライナから全面撤退させることが先決です。
いま、ウクライナ軍やウクライナ国民がSNSで発信した映像をロイターなどの外国メディアが放送し、それを日本のマスコミが放送するということが、毎日毎日繰り返されていますが、日本のマスコミが現場で撮影した映像ではありません。
ウクライナ軍が善戦し、ロシア軍が後退させられているというニュースが流れる中で、キエフやマリウポリなどの現状を映像でみると、壊滅的に破壊されているものばかりです。
ウクライナで住む場所を追われた人たちは1,000万人を超え、このうち367万人が国外に避難民として逃れました。国連の発表によるとウクライナで1,035人の市民が死亡したとされていますが、マリウポリでも3,000人が死亡と言われており、死亡者の総数は1万人を超えるのではないでしょうか。
ロシア軍の死亡者は米国発表で2,000~4,000人、ロシア国防省の発表では498人、NATO発表では捕虜も含めて3~5万人となっております。このように、配信されてくる映像も、あちこちから発表される様々な数も、何が正確なのかわからないのが戦争なのです。
それ自体が間違っている戦争とかかわる上で、アメリカはなぜ、ウクライナへの武器提供を行う前に、停戦協議に積極的に参加しないのか、不思議でなりません。
。中国を引っ張り出してロシア包囲網をつくり、アメリカと中国が入る中で停戦協議を成功させることが、アメリカの役割だと思います。
私の最大の心配は、ロシア側から発信された映像がほとんど出てこないということです。
いま配信されている映像のように町を破壊したり、市民の命を奪ったりするには、相当に激しい攻撃をしなければなりませんが、日本のマスコミからは、そのような残虐な攻撃をしているロシア側からの映像が全くでてこないことを恐れています。
ウクライナのSNS戦略が功を奏し、世界に感動を与え、支援を得ていると言われますが、マリウポリでは情報発信に必要なインフラが遮断され、SNSでの発信ができない状況になっていることが怖いのです。
そういう意味でも、アメリカの軍需企業の株価が高騰し、ロシアの残虐行為の映像は世界に配信されないという状況で、中国は静観しているという現実に、第二次世界大戦後の国際社会の無能さが見て取れるのではないでしょうか。
「誰がこの戦争を止めるのか」それは国連ではなく、アメリカと中国です。
この両国が本気にならなければ、毎日毎日ウクライナ国民の尊い命が失われることになります。
この戦争の意義について、プーチン大統領としては自分が正しいと思う主張を繰り返していて、停戦を嫌がっているかもしれませんが、国際社会は制裁だけでプーチン大統領を追い込むのではなく、軍事的な視点からも妥協点を見出しながら、ウクライナからロシア軍を撤退させなければならないのです。
沖縄振興予算がなぜ削られたのか分からない、戦争における現実の姿や数は分からない、そこが問題解決を遅らせる最大の要因です。