(2021年3月4日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
ロシアのウクライナへの軍事侵攻は明らかな国際法違反だ。
ウクライナのNATOへの加盟がロシアにとって軍事的脅威になるからといっても、プーチン大統領のウクライナ侵攻は決して正当化されるものではなく、絶対に許されるものでもない。
国際社会は今、「何を最優先すべきか」を考えるべきです。
それは、プーチン大統領を非難し続けることでも、ロシアに対する制裁を次々と発表し続けることでもありません。
今、最優先で行うべきは、「ウクライナからロシア軍を撤退させ、ウクライナ国民の命を守ること」です。
まずウクライナは、ロシアとの協議の中ですべてのことを飲み込んで停戦交渉を勝ち取り、直ちにロシア軍を撤退させることが大事です。
すべてのことを飲み込む=敗戦と考える人もいるかもしれませんが、そのことで国民の命を守ることができます。
国際社会は、ウクライナが白旗を上げることを「ウクライナの勝利」と認識するでしょう。
ゼレンスキー大統領は、「国民総動員令」の発動や、「国際義勇軍」への呼び掛け、「徹底抗戦」などと訴えていますが、それは愚かで感傷的な政治判断です。
誤った判断による還らぬ命、それは日本が経験してきたことであり、ウクライナは日本と同じ過ちを犯してはならないのです。
しかも、ロシア軍はついに、ウクライナ南東部の原子力発電所への攻撃を行いました。
一歩間違えば、チェルノブイリや福島よりも酷い原発事故が起きるかもしれません。
そんな中で徹底抗戦を叫び続けることは、意味がありません。
今やらなければいけないこと。
それは、何度も何度も申し上げますが、「ウクライナ国民の命を守るためにロシア軍をウクライナから即時撤退させること」であり、そのためには「NATOに加盟しない」「中立的な国になること」を明確に打ち出して、この戦争を終わらせることです。
一方で私が大変残念なのは、アメリカという国家の指導力の低下です。
米露が直接戦争することは核戦争に発展するだけに、米軍を派兵できないことは初めから分かっています。
アメリカは自ら派兵できないことが分かっているならば、なぜ戦争を止める仲裁をしないのでしょうか。
もし、中国が仲裁して停戦となれば、世界の国々はロシアと中国という二大国家に牛耳られることになり、そのことの方が私たちにとって脅威です。
そして私たちの日本は、GDP世界3位の国家として、経済政策の原点が「平和」であるならば、安倍元総理をロシアに派遣して停戦交渉を行い、羽交い絞めにしてでもプーチン大統領に核ミサイルの発射ボタンを押させてはいけません。
今は、今後間違いなく弱体化していくロシアとどうやって北方領土を取り返すための交渉を行うかを考えるべきです。
そして、ウクライナからの避難民を受け入れると表明する前に、避難民を出させないこと、つまり戦争をやめさせることが重要であり、順序が逆なのです。
アメリカの背後からちょろちょろした制裁の話をするだけではダメです。
日本で暮らすロシア人や日本にあるロシア料理店などに対する嫌がらせが相次いでいます。
たとえロシアが悪いとしても、悪いのはプーチン大統領であり、ロシア人ではありません。
だからこそ、身近なロシア人への嫌がらせはやめるべきです。
悩んでいる彼らに対し、日本はむしろ温かく接するべきで、それこそが本当の日本です。
「戦争をしない、させない」その能力こそが、世界の指導者たちにあるべき資質であります。
今回の戦争に対する世界の指導者たちの対応を見ると、77年前に終結した第二次世界大戦からまったく進化していないと、率直に思います。
しかし、そうしたリーダーのいない今の世界に絶望することなく、私も政治家として大事な決断をできる立場になれるよう、日々の政治活動に専念していきたいと思います。