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「沖縄に“寄り添う”ということ」

(2021年12月24日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)

米軍と自衛隊が、台湾有事に備えて「南西諸島に攻撃拠点をつくる」ことを計画していると、大きく報道されております。

近ごろ毎日のように、「台湾有事」「尖閣有事」「中国の軍事力増強」「朝鮮半島の不安定な現状」などが報道されており、日本を取り巻く安全保障環境が大きくクローズアップされています。

私は安全保障について、「平和は自然にできるものではなく、自らで創造していかなければならない」と考えています。

つまり、日米両政府が「有事を想定した計画を作成する」ことは、自らの国を守るという意味において、国家として当たり前のことだと思います。

ただ、「地理的位置」「日米の防衛拠点」の“ど真ん中に沖縄がある”ということを忘れてはいけません。

在日米軍基地の7割が沖縄県に集中し、新たに南西防衛の拠点として宮古・石垣・与那国に自衛隊のミサイル基地が次々と建設される中で、戦後76年目を迎える沖縄は、また新たな国防の大きな役割を担わなければならない環境になっております。

沖縄県は先の大戦において国内で唯一の地上戦を経験し、多くの県民が戦争に巻き込まれて亡くなった悲惨な歴史があります。

また終戦後27年間、日本人でありながらアメリカの施政権下におかれ、「人権」や「尊厳」が著しく侵害されたという事実があります。

この経験を持つ沖縄県民の多くが、いまの沖縄県を取り巻く安全保障環境に大きな不安を抱えているということを深く認識したうえで、日米の安全保障計画は作成されるべきです。

これまでの歴史からくる「沖縄はまた地上戦に巻き込まれるのではないか」という不安を、決して軽視してはなりません。

沖縄県民の不安をどうしたら取り除けるか、それをコアに据えた防衛計画の作成が大事だと思います。

そのためには、政府は沖縄県民との「信頼関係」を構築し、「説明責任」を丁寧に果たし、「沖縄県に寄り添う」ことが大事なことです。

しかし今の政府の沖縄県に対する対応は真逆で、「突き放し政策」として見るのは、私だけではないと思います。

「沖縄振興予算は大幅に減額し」

「沖縄振興計画の期間は10年から5年に短縮しようとし」

「沖縄の未来を創る新たな税制は何一つ認めず」

こんな姿は、「寄り添う」とは程遠いものであります。

私は、岸田内閣がこのように沖縄県に寄り添わない政治決断を続けることは、政府と沖縄県民との間に普天間基地の辺野古移設問題以上の新たな軋轢を生むのではないかということを心配します。

私の政治の師である山中貞則先生は、沖縄の復帰40周年式典で次のような発言をしました。

「沖縄の予算や振興策を“もういい”という権利を持っているのは、沖縄県民だけだ。本土の人が“もういい”と言ってはいけない。沖縄県民が“もういい(結構だ)”と言ったときが、終わる時だ」

沖縄の様々な声を聴いてきた山中先生だからこその言葉です。

私がもう一つ思うことは、岸田内閣が沖縄復帰50年目の節目、沖縄振興計画の見直しの時期に、このような厳しい結論を初めから考えていたならば、沖縄選出の国会議員を沖縄担当大臣にはすべきではなかったということです。

「沖縄県民である沖縄担当大臣が、沖縄県民の納得できないことをやらされる」

これは、沖縄にとってあまりにも辛すぎる。

沖縄から大臣を出すということは、沖縄の夢が実現に近づくものでなければならないからです。

「沖縄県民は、締め上げれば服従する」という考えを政府が持っているとするならば、それは沖縄の政治が正しい方向に修正しなければなりません。

そうでなければ、沖縄県民のための政治にならないからです。

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