(2021年10月1日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
9月29日、自由民主党の第27代総裁に岸田文雄氏が選ばれました。
10月4日に召集される臨時国会において、岸田氏は第100代内閣総理大臣に指名されることとなり、新総理の誕生によって、新しい政策へのチャレンジが行われることになります。
自民党を支持する、支持しないに関わらず、すべての国民が、「さあ、岸田文雄総裁=総理大臣は、どのような方向に日本を引っ張っていくのだろう」という期待のなかで、その動向に注目していくことは間違いありません。
そして、1か月後には衆議院選挙を控えるなかで、具現化した政策を示し、その結果を出さなければならないという、言わば「待ったなし」の政治環境が出来つつある状況です。
政策としてはまず、“ウィズコロナ”という考え方の下に、日本経済の復活を図っていかなければなりませんが、これについては、短期と長期の2つのスパンで国民に示さなければならないと思います。
私は、短期の経済刺激策としては、「GoToトラベル事業の早急再開、および、今後5年間は、GoToトラベル事業を継続する」ことを明確にすることが大事だと考えております。
つまり、「このGoとトラベル事業継続は、決して一過性のものではなく、少なくとも5年間は続けますよ」という姿を示すことが、各所のモチベーションを向上させ、景気を刺激することとなり、それは確実に数値となって結果に表れます。
また、「5年間継続する」というインパクトは、投資を刺激することにもつながると、私は考えております。
次に、長期的な経済刺激策としては、「消費税率は10年間見直さない」ことを明確にして個人消費を刺激することで、新たなビジネスチャンスが生まれてくることにもなると思います。
「政治家は、10万円の特別定額給付金などの政策を行うと、その後に必ず消費税の税率を見直して回収しようとする」と強く考えている人たちも数多くいるだけに、「消費税率の見直しは10年間行わない」と明確にすれば、必ず個人消費の拡大が起こることになると思います。
今回の自民党総裁選は、「1か月後に衆議院選挙が行われる」という特殊な状況下で行われただけに、これから1か月間の政府の発信力は、大変注目を集めることになります。
土日に行われる世論調査、来週月曜日からの閣僚予想が出たあとの株価、世界の首脳たちの発言等、全てが集約されて、月曜から岸田内閣が動き始めます。
そして、所信表明演説、代表質問を経て、国民の短期的な評価が定まり、それが衆議院選挙へ影響していくこととなります。
菅総理が当初あれだけ高い支持率があったにもかかわらず、厳しい政治環境にまで追い込まれた最大の要因は、「今まで誰もやったことのない新型コロナへの対応において、良し悪しの基準が国民の間になかったこと」だと思います。
今日も地元で多くのお店をまわるなかで、「オリンピック開催の決断は良かったね」「緊急事態宣言の解除も良かったね」といった菅総理への評価の声が大きくなっています。
しかし、1年経って初めて、その評価が下されることになったのです。
岸田新総理は1年を待たず、1か月で評価を得なければならず、そこに難しさがあるのです。
政治家の評価は、コロナ対策と同じように、短期と長期、両方で得なければいけないと言われますが、岸田新総理は、「短期が全て」という、稀に見るタイムスケジュールでの勝負ということになります。
あと1か月以内で評価を得ることになる。
そのような意味においては、私も短期勝負ということになります。