(2021年9月10日にメールマガジンにて配信された内容を転載しています)
自民党の第 27 代総裁を決める選挙が、「17 日告示・29 日投開票」の日程で行われます。
前回のメルマガでは、「菅総理がなぜ総裁選への出馬を断念したのか」について書かせていただきましたが、それを予想するのは大変難しく、真相は「その時歴史が動いた」を見るほかないと思います。
現時点で、岸田文雄元自民党政調会長、高市早苗元総務相、河野太郎行政改革相の 3 名が立候補を表明しており、石破茂元自民党幹事長については、来週までに立候補の是非を決めるということであります。
この 4 名で総裁選が行われることになれば、4 名がそれぞれに個性豊かな政策を打ち出してくるだけに、面白い討論が聞けるのではないかと注目しております。
岸田候補“小泉改革以降の新自由主義政策の転換”、高市候補“サナエノミクス”、河野候補 “温もりのある国へ”、石破候補も立候補を決めれば、独自の政策を打ち出すはずです。
これらの政策の旗を見るだけでも、本当に同じ自民党所属の国会議員なのかと思うほど、バラエティに富む幅広さがあると感じます。
この政策の幅広さこそ、自民党が長期政権を維持できた最大の理由であり、「政策における寛容さ」は、他の党が真似できるものではありません。
今回の自民党総裁選は、第100代内閣総理大臣を選ぶ選挙であり、自民党党員だけの投票で決まるものではありません。
特に、1か月後に衆議院議員選挙を控えていることを考えると、「党員投票(国民の声)」が勝敗を決すると予想しております。
なぜかといえば、「党員投票(国民の声)」が反映されず、決選投票で勝敗をひっくり返すような総裁選を行えば、1 か月後に控える衆議院選挙において、国民からの理解を得られなくなるからです。
そう考える自民党の国会議員たちは、「党員投票(国民の声)」の結果に従う行動に出るだろうと、私は考えています。
しかも、「党員投票(国民の声)」で大差がつくようなことになれば、決選投票を辞退する候補者も現れるのではないかと考えています。
1 か月後に衆議院議員の任期満了を控えた自民党総裁選の結果、それはそのまま衆議院選挙の結果につながるだけに、さまざまな化学反応が生まれてくることは間違いありません。
私が最も思い出深いのは、小泉総理が誕生した 2001年の総裁選であります。
私を含む4人の仲間たち(新藤義孝衆議院議員・梶山弘志衆議院議員・大村秀章愛知県知事)で、「派閥にとらわれない総裁選をやろう」と訴え、4 名で候補者を呼んでの討論会を仕掛けてみたり、街頭演説会を行ってみたりと、いま考えても、本当に大胆なことにチャレンジしたものだと思います。
「自民党の派閥は、政治家を育てる重要な役割を担う」と言われているなかで、親分から離れて自立した総裁選を行うことは、そう簡単なことではありませんでした。
野中広務元自民党幹事長の著書『私は闘う』では、私たち 4 名が実名で挙げられ、「絶対に許さない」と記されていたほか、野中先生は衆院選で必ず沖縄を訪問し、「下地君を国会議員にしてはいけません」と、大きな声で演説されておりました。
その野中先生のご指導があったからこそ、私は「耐えることのできる政治」を勉強させていただいたと思っております。
一国の総理大臣を選ぶことは大変難しいことではありますが、リスクをとって自らの意思を貫き通せるかどうか、総裁を選ぶ側の国会議員の行動にも、私は今回注目しております。
「派閥にとらわれない選挙をしよう」この掛け声は、政治家の今後を決める声です。
そのことを十分に認識し、その声に従うことのできる自民党の若手が存在するのかどうかにも注目しています。